市場の「目利き」から、北海道の「ストーリーテラー」へ。

生産者と食卓を深く結ぶ物語
札幌の食の玄関口として知られる場外市場。1950年代、市場の開設とともに産声を上げた「岡田商店」は、時代の荒波を乗り越えながら、北海道の豊かな食文化を世界へ繋ぐ「ストーリーテラー」へと進化を遂げています。
会社名:株式会社丸市岡田商店
設立年:1955
WEBサイト:https://www.maruichi-okada.jp/
市民の台所から、観光、そして「メーカー」への転換
岡田商店の歴史は、砂糖や米、油といった一般食料品を扱う市民の商店から始まりました。かつて札幌市民の胃袋を支えていた場外市場が、次第に観光地としての性格を強めていく中で、同社もまたお土産販売へと業態を転換していきます。
大きな転機が訪れたのは、現代表が家業に戻った約10年前のことです。通販事業を立ち上げ、北海道の希少な珍味の卸売などを開始しました。そして、未曾有のパンデミックによって観光客がゼロになったとき、同社はさらなる変革を遂げました。既存の「仕入れて売る」卸売・小売の枠組みを超え、自らオーブンを導入してお菓子を焼き、インターネットを通じて直接顧客に届ける「メーカー」としての歩みをスタートさせたのです。


繋がりが紡ぐ、境界のないプロダクト開発
岡田商店のものづくりは、特定のジャンルに縛られません。カヌレなどの洋菓子から、北海道ならではの珍味、さらには酒類まで、多種多様なラインナップを誇ります。その原動力となっているのは、長年の卸売業で培われた、産地や製造現場との圧倒的なネットワークです。
「私たちは、製造の専門家ではありません。だからこそ、地域のメーカーや生産者のもとへ足を運び、彼らのこだわりや苦労を直接聞き、それを形にすることができます」。他社からのOEM受託も増えている現状は、同社が北海道の食のインフラとして、信頼のハブ(拠点)になっている証です。
一次産業の「挑戦」を、一皿の物語へ
代表は、ものづくりの本質を求めて、農業や漁業の現場を頻繁に訪ねます。気候変動の影響で鮭が獲れなくなり、急遽ニシンへと切り替える漁師の機転。一生のうちにあと20回しか収穫できないという、限られた機会に人生を賭ける農家の真剣勝負。
「ただ売るだけでなく、作る人たちがどれほど考え、挑戦しているかを表現するのが私たちの役割です」。素材が持つ背景や、生産者のひたむきな思い。それらを自分事として語り、プロダクトに付加価値を乗せて発信すること。岡田商店が目指すのは、単なる「北海道産」というラベルを超えた、生産者と消費者を深く結びつける「物語の流通」です。

ブランドを「育てる」という、次の10年へ
現在、同社はスピード感を大切にしながらも、一つの商品をじっくりと丁寧に市場で育てていくフェーズに入っています。特に海外市場においては、酒類や珍味など、国ごとの複雑な規制や税制を乗り越えながら、北海道の「ここにしかない価値」を届けるための戦略を練っています。
場外市場という歴史ある場所に根ざしながらも、その視線は常に未来と世界を見据えています。北海道の豊かな自然(Nature)が育んだ恵みを、科学や伝統、そして何より人との繋がりによって磨き上げ、世界中の食卓に届けること。
岡田商店は、これからも北海道の食の可能性を信じ、新たな「挑戦」を形にし続けていきます。
