大地の息吹を、一滴のスープに。

廃棄されるはずだった「旬」を、世界が憧れるポタージュへ
北海道・紋別(もんべつ)。オホーツク海に面したこの肥沃な大地では、毎年、あまりにも贅沢な「廃棄」が行われてきました。「北海道ダイニングキッチン」の歩みは、この未利用の豊かさに光を当てることから始まりました。
会社名:北海道ダイニングキッチン株式会社
設立年:1906
WEBサイト:https://hokkaido-dk.com/
「もったいない」から始まった、農家との共創
もともと海産物のお弁当屋を営んでいた創業家が、2代目の代で舵を切ったのは「地に足がついた農産加工」でした。きっかけは、紋別の農家を訪れた際、あまりにも多くの野菜が捨てられている現状を目の当たりにしたことです。
「味は格別なのに、形や色が少し悪いだけで市場に出せない。そんなスイートコーンが山積みになっていました」。そこから、規格外品を活用した粉末スープの開発がスタートしました。アスパラガスも同様です。スーパーの棚に並べるためにカットされる「切り下」と呼ばれる根元の部分は、実は旨味が凝縮されています。北海道ダイニングキッチンは、この切り下を洗浄・粉末化し、一皿のポタージュへと昇華させました。


収穫から加工まで─「鮮度」という絶対条件
彼らが他と一線を画すのは、素材に対する執着ともいえるこだわりです。特にスイートコーンは、収穫後の糖度の低下が非常に早い野菜です。そのため、紋別の加工場は農場に隣接しており、早朝に収穫されたばかりのスイートコーンをすぐに加工する体制を整えています。
「他社とは違い、添加物を極力使わず、素材そのものの量を増やすことで本来の美味しさを表現しています」。高品質なスイートコーンが持つ圧倒的な糖度とコク。それを閉じ込めたスープは、安価な大量生産品とは一線を画す「質」を実現しました。
「週末のご褒美」としてのプレミアム・スープ
北海道ダイニングキッチンのポタージュは、決して安価ではありません。一般的なスーパーで見かける大手メーカーのスープの倍以上の価格で販売されています。しかし、高価格帯でありながら、高級スーパーや自然食品店では確かな支持を得ています。
「かつて安価なスープを作ったこともありましたが、全く売れませんでした。私たちの役割は、価格競争ではなく、質を追求すること。平日の慌ただしい朝ではなく、土日のゆっくりとした時間に『いつもと違う良いもの』を食べる、そんな自分へのご褒美としての需要に応えています」。添加物ゼロの濃厚シリーズは、健康意識の高い顧客や、食に本質を求めるリピーターから「ここのスープしか飲めない」と言わしめるほどの信頼を築いています。


北海道から、47都道府県、そして世界へ
現在は、北海道産素材のブランド力を背景に、海外展開への準備を加速させています。販路を広げることは、単なるビジネスの拡大ではなく、不測の事態から従業員を守るためのリスク分散であり、同時に北海道の農業への還元でもあります。
「海外でスープを飲んだ人が、北海道にはこんなに美味しいものがあるんだと知り、いつか産地を訪れてくれる。そんな循環を作りたいのです」。さらに構想は北海道に留まりません。日本全国47都道府県の特色ある素材をポタージュ化し、各地の農業を支援するプロジェクトも動き出しています。
一袋のスープの中に閉じ込められた、北海道の大地の記憶。北海道ダイニングキッチンは、自然と技術、そして農家との信頼関係を丁寧に繋ぎ合わせながら、世界中の食卓に「本物の豊かさ」を届けていきます。
