畑と食卓の「距離」をゼロにする。北海道・美幌から世界へ。

農家と共に歩むマルワ製麺の挑戦。
北海道の東、オホーツク海にほど近い美幌町(びほろちょう)。広大な小麦畑が広がるこの地で、1963年の創業以来、地域に根ざしたものづくりを続けているのが「マルワ製麺」です。創業63年目を迎えた同社は、地域で唯一存続する製麺会社として、単なる製造業の枠を超え、農業の未来を支える「クリエイティブ・パートナー」へと進化を遂げています。
会社名:株式会社マルワ製麺
設立年:1963
WEBサイト:https://www.maruwaseimen.co.jp/
朝3時、子供たちの笑顔から始まる一日
マルワ製麺の日常は、まだ夜が明けきらぬ午前3時から始まります。代表自らが釜を炊き、スタッフと共にその日に学校給食で供される麺を製造します。
「美幌から知床の先まで、広大なオホーツク圏の小中学校に出来たての麺を届けています。子供たちが口にするものだから、安全・安心は絶対条件です」。
この学校給食事業で培われた「絶対に妥協しない品質管理」と「添加物を極力使わない引き算の製法」こそが、同社のアイデンティティの核となっています。1年半以上にわたりクレームゼロを継続しているという事実は、地域からの揺るぎない信頼の証です。


「ひでちゃん小麦」が変えた、農家との関係性
マルワ製麺の最大の特徴は、特定の生産者や農協(JA)と深く結びついた、顔の見えるものづくりにあります。その象徴が、地元・美幌町(びほろちょう)の農家と共に育て上げた独自ブランド「ひでちゃん小麦ィ」です。
かつて、農家にとって小麦は「栽培して納めるだけ」の作物でした。しかし、マルワ製麺はその小麦を主役にした商品を企画・製造し、生産者自らが展示会に立って魅力を語る場を作りました。「自分たちの作ったものが、こんなに美味しい麺になって喜ばれている。その実感が農家のプライドに火をつけました」。
一人の農家の情熱を製麺技術で形にし、さらには近隣の農協とも連携して種子生産から一貫した体制を築く。この「一歩踏み込んだ」連携が、地域の農業自給率の向上と活性化を支えています。
オホーツクの自然を、そのまま「麺」に練り込む
同社のプロダクトは、北海道産小麦の力強い風味を最大限に活かしています。新商品のハイグレードライン「秀麦」(ひでむぎ)は、厳選された小麦とオホーツクの海洋深層水のみを使用。余計なものを削ぎ落としたからこそ、大地のエネルギーがダイレクトに伝わります。
さらに、気候変動や農業環境の変化にも柔軟に対応。規格外の野菜を麺に練り込んだパスタなど、地域の未利用資源に新しい命を吹き込む商品開発にも積極的です。
「小麦がなければ、私たちの仕事は成り立ちません。だからこそ、原材料を守り、生産者と共に歩む。それが私たちの使命です」。

北海道の「誠実さ」を、世界のスタンダードへ
コロナ禍を経て、マルワ製麺の視線は世界へと向けられています。ニューヨークやオーストラリアなど、日本食への関心が高まる海外市場に対し、同社は「北海道産の素材」と「誠実なものづくり」を武器に挑戦を始めています。
「海外のバイヤーに対しても、単に商品を売るのではなく、その背景にある畑の物語や、生産者の思いを伝えたい」。
展示会に継続して出展し、バイヤーとの信頼関係を地道に築き上げるその姿勢は、美幌の地で60年以上育んできた誠実さそのものです。北の大地が育んだ最高級の小麦と、職人の技術、そして農家の情熱。マルワ製麺の一皿は、北海道の自然(Nature)の豊かさを、国境を越えて届ける「メッセンジャー」なのです。
