OUR BEST FOODS from Sapporo

海の記憶を、未来の食卓へ。知床から世界へ。

「魚屋」の矜持

北海道・札幌に拠点を置く「D&F」。その歩みは、北の海の豊かさと、そこに生きる人々の情熱が幾重にも重なって形作られてきました。代表の背景にあるのは、先祖代々受け継がれてきた「魚屋」としての血筋です。かつてサハリンから引き揚げ、知床の地で漁業を始めた先祖の記憶は、今も同社のものづくりの根底に流れています。

会社名:有限会社 ディーアンドエフ
設立年:2002
WEBサイト:https://gozen-no-tatsujin.com/

10年に一度の「ひらめき」が形にするプロダクト

D&Fのプロダクト開発は、ある種のアートにも似ています。代表は自らの商品づくりを「10年に一度のひらめき」と表現します。しかし、その直感を支えているのは、神戸の荷受け会社で培った12年の経験と、ロシア貿易を通じてウニやカニ、ニシンなど最高級の素材を見極めてきた確かな審美眼です。
看板商品の一つ「きんきの煮付け」は、北海道加工食品フェアで受賞し、現在も年間数千尾を出荷するロングセラー商品です。また、「タコ飯」のレトルトは、「丸くして、たこ焼きのようにすればいい」という夜のひらめきから誕生しました。見た目の楽しさと、レトルトとは思えない米の食感。そこには、確かな加工技術と連携し、幾度もの試作を重ねた執念が宿っています。

「紙技」という名の、目に見えない職人技

同社のプロダクトが他と一線を画す理由は、独自の製法にあります。代表が「神」ではなく「ペーパーの紙」と呼ぶ「紙技」という技術は、素材の旨味を最大限に引き出し、雑味を取り除くための重要なプロセスです。この目に見えない手間こそが、家庭で解凍した際に「生よりも美味しい」と感じさせる魔法の正体なのです。
主力である「サバの味噌煮」も、この技術によって支えられています。現在、サバの資源量は世界的に不安定ですが、D&Fでは品質が安定したノルウェー産などを厳選し、「御膳の達人」という自社ブランドを通じて、その価値を届けています。新聞の通販やアンテナショップで、箱買いするファンが後を絶たないのは、その一口に込められた「本物」の味わいが伝わっているからに他なりません。

北海道の「鮮度」を、そのまま世界へ

今、D&Fの視線は海外へと向けられています。台湾やオーストラリア、そしてタイ。現地パートナーとの連携を視野に入れ、日本食の可能性を広げようとしています。
海外展開における最大の障壁は「鮮度」と「流通」です。そこで同社が導入したのが、最新の凍結技術です。水揚げ直後の鮮度を内臓処理と急速凍結によって「冬眠」させ、数ヶ月後でも解凍した瞬間に獲れたての輝きを取り戻す。この技術があれば、台湾の消費者に、まるで北海道の港町で食べているかのような魚を届けることが可能になります。

繋がりが生む、新しい「ストーリー」

D&Fのプロダクトは、一社だけで生まれるものではありません。増毛の銘酒「国稀」の酒粕を使ったパンナコッタなど、地域の素晴らしい素材と、それを愛する人々の繋がりから新しいストーリーが生まれます。
「自分が食べて美味しいと思うもの、本当に良いと思える素材。それを、信頼できる仲間と共に形にする」。このシンプルで実直な姿勢こそが、D&Fのアイデンティティです。
自然の恵みに敬意を払い、最新の技術でその輝きを閉じ込め、世界中の食卓へ。知床の潮風を知る魚屋の魂は、今、国境を越えて新しい「食」の感動を紡ぎ出そうとしています。